スペシャリティコーヒーとは

風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒー

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)の定義する風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは「際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと」としています。スペシャルティコーヒーの風味はストロベリーやオレンジなどのフルーツ、チョコレートやシナモンといった食べ物やスパイス、あるいはジャスミンといった花に例えることもあります。この風味を活かすため浅めの焙煎をしているのでコーヒーの味を「苦くてどっしりした味」と思っている方が飲まれると、これまでのコーヒーの味とのギャップで驚くかもしれません。

フレーバーのイメージ画像

産地や農園名など生産元がはっきりしている「トレーサビリティ」

スペシャルティコーヒーは「どこで」「だれが」「どんな方法で」作ったのかが詳細にわかるように、農園や生産者を開示して情報を追跡できるようにしています。一杯のコーヒーができるまでには豆の栽培から始まり、収穫、選別、輸送、管理、焙煎、抽出といった数多くの工程があります。これら全ての工程で徹底的に管理されることで、コーヒーの品質は高くなります。また、一貫管理されることはコーヒー豆が作られる背景を直接監視することができるので、安心感・信頼感にも繋がります。

トレーサビリティのフローチャート

美味しいコーヒーを飲み続けるための「サステナビリティ」

実は、20年ほど前のアメリカではコーヒーの文化が途絶えてしまう恐れがありました。当時のコーヒー市場は「質より量」。そのため、大規模な農園で作られた価格重視の品質の低いコーヒーばかりが出回っていました。中には高品質なコーヒーを作る農家もありましたが、コーヒーは先物取引と言って質に関係なく、需要が高く・供給が少ないものが高値で取引されるのが一般的。農家の人たちがいくら頑張って高品質なコーヒーを作っても、それが価格に反映されず、辞めざるを得ませんでした。

そこで生まれたのが「スペシャルティコーヒー」
スペシャルティコーヒーとは「高品質なコーヒー豆を作った人に対し、それに見合った対等な賃金を払おう!」という考えから生まれた、これまでのコーヒー業界を変える革新的なコーヒーです。コーヒー農家さんの生活も守られ、また私たち消費者も美味しいコーヒーが飲めるWin-Winな関係ができあがったのです。

サステナビリティ(持続可能性)という考え方も取り入れられ、コーヒー農家と協力し、高品質なコーヒー豆を栽培し続ける環境づくりを目指すようになりました。コーヒーは、コーヒーベルトと呼ばれる地域の中でも、栽培に適した自然条件(気温や降水量、標高など)のもとで生産されている繊細な農作物です。年によっては降霜・干害等の自然災害や、病害虫の大量発生などにより、生産量が大きく減少する場合もあります。また近年の地球温暖化による気温上昇等の気候変動の影響で、将来的に良質のアラビカ種の生産適地が半減するとの観測が民間の調査機関から報告されています。

将来にわたり美味しいコーヒーを安定的に生み出す地球環境を保持するために、生産国の水質や土壌、生物多様性の保全など、日本のコーヒー業界では様々な活動に取り組んでいます。スペシャルティコーヒーは単に品質が高く美味しいコーヒーなだけではなく、コーヒーのレベルの底上げすることで、コーヒー文化を守る意味があったのです。

最高品質で希少性が高い

スペシャルティーコーヒーとなるコーヒー豆の評価基準は全部で7つあります。

  1. カップ・クォリティのきれいさ
  2. 甘さ
  3. 酸味の特徴評価
  4. 口に含んだ質感
  5. 風味特性・風味のプロフィール
  6. 後味の印象度
  7. バランス

7つの評価基準をもとに、80点以上の点数を獲得したコーヒー豆がスペシャルティーコーヒーとなることができます。
コーヒー豆にはランクがあり、スペシャルティコーヒーは国内総流通量の約5%最も高品質なグレードとされています。

コーヒーピラミッドの図
コーヒーピラミッド